姿勢と腰痛の関係について解説します。(井ノ原啓貴)

腰痛と姿勢

腰の痛みというものは、「二足歩行」へと進化した人類の宿命だといわれます。2本脚で立っているために姿勢にむりがかかるからです。つまり、だれでも痛くなる機会があるということです。腰痛を避けるためには、むりの少ない"よい姿勢"を心がけることがたいへん重要になります。

姿勢は、一種の「器官言語」だと考えられています。器官言語とは、心の状態があらわれる体の器官や反応、動作のことです。つまり、姿勢というのは、私たちの感情の表現の一つだということです。

実際、うれしいとき、かちほこったときなどには胸を張って意気揚々としていますが、不幸にあったり、落胆したりすると、首うなだれて背中が丸くなります。

よい姿勢をつくるには、精神状態に関係なく、しっかりと背筋をのばすことが大切になります。

よい姿勢とは

よい姿勢とは、まず、体の「重心」によって決まります。重心が首の耳のもとから落ち、耳のつけ根から下ろした垂線が肩を通り、それから股関節の上を通って膝の関節の軸の少し前を通って、脚のくるぶしの前のところに落ちるのが、良い姿勢だとされます。

重心

では、体の「重心」とは何でしょう。重心の位置というのは、人体を百等分した場合、ちょうど頭のてっべんから55パーセントぐらいのところ、すなわちちょうど半分より少し下のところにあります。

具体的にいうと、仙骨という骨がありますが、この第二仙骨の少し前あたりです。

骨盤の傾きが30度前後

骨盤の傾きが極端に急になったり、平らになったりせず、地面に対して30度前後の傾きをしていると、むりがなく立つことができます。ですから、骨盤の傾きも一定の角度内であることが、よい姿勢の条件になります。

この状態を横から見るとなだらかなカーブを描き、それがS字形になっていると、重心線が通るべきところを通っていることになります。

美しい自然な感じ

立っていて、あるいは腰かけていて負担が少ない姿勢も、よい姿勢の一つの定義になります。また、見た目にも不愉快な感じを他人に与えないで、非常に美しい自然な感じを与えるという姿勢が、やはりよい姿勢の一つの条件になっています。

次の動作に入りやすい

さらに、背骨というものは、体重を支えるとともに、次の動作に移る準備をする役割があるので、いつでも次の動作にむりなく移りうるという準備状態にあることも、よい姿勢の条件になります。つまり、機能的にすぐれているということです。

以上の点をまとめてみると、次のようになります。

「良い姿勢」の条件

(1)重心線が通るべき位置を通っている

(2)骨盤の傾きが正しい傾きである

(3)からだ全体のカーブが、横から見たときにS字形になっている

(4)他の人から見て美しい姿勢である

(5)立っているとき、あるいは腰かけているときに負担が少なく、腰や肩が疲れにくい

(6)次の動作にスムーズに移れる